生理前のココロとカラダの不調と上手に付き合う ~月経前症候群PMS~

月経前症候群(PMS)は、女性に特有の症状で、生理の3~10日位前から起こるココロとカラダの不快な症状が起きる状態のことです。その症状は生理が始まると弱まり、やがて症状はなくなります。
月経前症候群(PMS)には200以上もの症状があると言われ、その症状の重度に個人差はありますが、女性の約85%はこの月経前症候群(PMS)を経験していると言われています。つまり、ほとんどの女性が1か月のうちの約1週間、月経前症候群(PMS)に悩まされていることになります。

月経前症候群(PMS)の症状とその原因

月経前症候群(PMS)の症状は、大きく分けて「ココロの症状」「カラダの症状」があります。ココロの症状としては、イライラする、情緒不安定になる、憂鬱な気分になる、身近な人に八つ当たりする、集中できない・・・など。カラダの症状としては、乳房の張りや痛み、肌荒れ、ニキビ、体重の増加、下腹部の張り、眠気または不眠、疲れ、だるさ、頭痛、むくみ、のぼせ、腰痛などがあげられます。
月経前症候群(PMS)に悩まされている女性は、性成熟期と呼ばれる女性が妊娠・出産をするため適した時期である20代~40代で、その症状は年代によってもさまざまです。
20代では、乳房の張り、下腹部の張り、頭痛などカラダの症状が強く出る傾向にあります。30代になると、カラダの症状に加え、イライラする、怒りっぽくなるなどココロの症状があらわれます。特に出産経験のある女性はココロの症状が強く出る傾向にあるようです。

月経前症候群(PMS)の原因としては、排卵を境に変動する卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンのバランスが崩れていることが影響しているといわれています。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は、乳房を発達させ、女性らしいカラダをつくる子宮内膜を厚くし、妊娠の準備を行ったり、自律神経のバランスを整えたりする役割があります。一方、黄体ホルモン(プロゲステロン)は、子宮内膜の厚さを維持し、妊娠しやすい状態にし、体内の水分量を保持する、栄養を蓄えられるよう食欲を増やすという役割をもつホルモンです。
この2つの女性ホルモンは、生理が始まる10日前から3日前の時期に分泌量が変わります。その分泌量の変化が月経前症候群(PMS)の症状につながっていると考えられています。
女性ホルモンのバランスが崩れると、様々な不調が起こります。

・むくみやすくなる
妊娠しやすくする黄体ホルモン(プロゲステロン)が、普段よりもカラダの水分を保持し、むくみや頭痛を引き起こします。

・セロトニンが少なくなる
セロトニンは幸せホルモン、幸せ物質などとも呼ばれ、精神を安定させる働きがあります。セロトニンが減少するとストレスに弱くなり、感情を制御できずに不安定になるので、不安やイライラを引き起こします。

・血糖値を下げるインスリンの効果が弱くなる
血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが弱くなると大量のインスリンが必要になり、結果として血糖値が下がりすぎてしまい、集中力の低下や眠気を感じ、また甘いものが食べたくなります。

女性ホルモンのバランスが崩れることによって引き起こされる月経前症候群(PMS)ですが、ストレスや食生活、性格や考え方、自律神経の乱れや免疫力の低下によって、その症状が悪化する場合もあります。

月経前症候群(PMS)と上手に付き合う

生理前にココロやカラダの不調を感じていても、ほとんどの女性が何も対処していません。女性は我慢強いという事もあるのではないかと思いますが、女性特有の不調は病気とは違い、周りに理解されにくいという点もあるのではないでしょうか。
しかし、月経前症候群(PMS)はライフスタイルを少し見直し、心がけることで改善されるのです。

・自分の月経前症候群(PMS)の時期を把握する
自分が月経前症候群(PMS)の状態だと自覚することで、原因不明のイライラに戸惑うこともなく、またココロとカラダに負担をかけないよう対策ができます。

・軽い運動やマッサージをする
月経前症候群(PMS)では肩こりや腰痛、むくみなどを感じることが多く、マッサージやストレッチなどで血行を良くすると症状が和らぎます。副交感神経を刺激しリラックスすることで、症状が緩和されます。

・禁煙に努める
受動喫煙を含む喫煙は血行を悪くし、ホルモンバランスを崩してしまいます。

・バランスの良い食事を摂る
アルコール、塩分、カフェインの摂取はなるべく控え、バランスの良い食事を心がけましょう。また鉄欠乏性貧血も月経前症候群(PMS)の症状を重くする原因となるため、鉄分を意識した食事も大切です。

月経前症候群(PMS)をきちんと理解し、上手に付き合うことこそ、不調を改善する良い方法です。
もっと元気に、笑顔で頑張るために、自分のカラダを労り、頑張らない時間も大切にしたいですね。